数年分のストックを利用して、
主に図書館で借りた本の感想を簡潔に書いています。
本当に簡単に書いていますので、
ネタバレなどの心配はほとんどありません。
解説風で内容を賞賛する事が滅多にないのが特徴です。

『琥珀の城の殺人』
『遊仙譜』
『五体不満足』
『百輪』
『パンプルムース氏のおすすめ料理』
『満漢全席』
『酒仙』
『名探偵に薔薇を』
『ギリシア棺の秘密』
『青猫の街』


『琥珀の城の殺人』篠田真由美

ベルンシュタインブルク。
工夫を凝らした殺人もの。
…それだけ。

『遊仙譜』南條竹則

仙人玉英と呂洞濱の冒険遊戯話。
冒頭の酒好き談義は酒好きにしか分からん感覚で埋め尽くされている。
この大平楽な仙人さん達にどうやって冒険をさせるのかと思えば、そこはそれ、人間臭い仙人さん達は話のネタに事欠かない。ギリシヤまで遠征に行くと思えば、愛しい恋人のために命を賭ける。
何にしても、彼らの呑む酒はまこと、旨そうである。

『五体不満足』乙武洋匡

学校の図書館の必需品になりそうな本。国語の教科書への進出も夢ではないかも。

『百輪』小説伊能忠敬 龍道真一

もう少し地図作りの過程を書いて欲しかった。それが伊能さんの人生だから。
文章がイマイチで読むのが苦しかった。伊能さんの話でなければ、始めの一行で読むのを止めていた。

『パンプルーム氏のおすすめ料理』マイケル・ボンド

くまのパディントンの作者だそうだが、を読んだ事がないので、その出来不出来は知らないが、この作品はイマイチ。訳が良くないし、文の運びも悪い。
犬しか覚えられないのが正直な感想。

『満漢全席』南條竹則

満漢全席を食べるために、日本空想文学対象に応募する英国文学者が満漢全席堪能するまでの話。
空腹時に読んでも辛いが、満腹時に読んでも苦しい。食べたい、呑みたい、味わいたい。何て旨そうな文章なんだ。しかし、本当に中国人の御馳走とは食べられないものを如何に美味しく料理するかにかかっているのだな。素直に其処いらの食材を使えばいいのに、わざわざちっちゃい蛙の脳みそなんぞを集めたりする。飽食も過ぎると、ゲテモノに走るしかなくなるのだな。

『酒仙』南條竹則

件の満漢全席のために空想文学大賞受賞作。
賞金は全て満漢全席へ。
父親に読ませた所、落語のようなノリが面白いと言っていた。
酒好きの酒好きによる酒好きのための話。酒が飲めない人には全くもって理解不能。(呑めて良かった。)このような作品を書く方も書く方だが、賞をやる方もやる方である。(誉めてます。)

『名探偵に薔薇を』城平京

小人地獄が重過ぎる。主体となる小道具の不自然・不条理さがなければ、この探偵物は良い。
ナイフではなく、真直ぐな棒で打ち据えられた犯人はのたうちまわることなくその場に崩れ落ちる。断罪する探偵の側もまたしかり。彼女はふらつく足を踏ん張り、前を向いて、歩き始める。彼女は探偵の苦悩に忠実である。
そう、探偵は優しくなければ正義の徒でなければならないのだ。

『ギリシア棺の秘密』エラリー・クイーン

閉架に入っていたのはただ単に古いからか、それとも作者の時代まんまの人種差別的表現からか?
犯罪心理学者エラリー・クイーンのデビュー事件である。
犯人探しが主体の作品で登場人物に厚みも何もあったものではない。今後、クイーン作品を見限るには充分な話である。

『青猫の街』凉元悠一

横書きは読みにくい。
コンピューター関係の用語が一杯。分からなくても話は通じるが、何行も飛ばし読みをしてしまった。それでも通じる話。