|
『名画狩り』トマス・ホーヴィング
原題『Materpiece』(傑作、名作)
オークションにかけられる名画を、美術館や個人コレクターがどのように手に入れるかがよく分かる作品。物語は恋愛や駆け引き、陰謀を混ぜあいながらアメリカ人の大好きなハッピーエンドへ突き進む。
|
|
|
|
『ミイラにダンスを踊らせて』トマス・ホーヴィング
『MAKING THE MUMMIES DANCE』
昔、えぬえちけいのみんなのうたにメトロポリタンミュージアム♪っていうのがあったなぁ。あれでも確かミイラが踊っていた。
そのメトロポリタン美術館の館長さんによる美術館裏話本である。(上記の作品はその職業経験を活かして書かれた話)
外国物を読む度に思うのだが、あちらの金持ちはやっぱり凄い。日本とはレベルと根本が全然違う。作者も上流階級出身であるが、美術館を税金逃れに使う彼らのやり口を記している。
そして、館長とかこんなにも疲れる仕事なのかと感心する程、彼はよく働く。
読み終わってから「御苦労さまでした、館長さん」といいたくなるくらいだ。(実際、アメリカの金持ちってのはかなりの働き蟻なんだよなぁ)
何でも今日のように、美術館が一般受けする展示を始めたもの、教育の場として利用するようになったのも彼の発案によるものらしい。ただ、話のネタとして地味なせいか、後者の方はどの程度成功したのかほとんど書かれていない。
これでもかと詰め込まれたエピソードの中で、ジャクリーン・ケネディ・オナシスと館長就任までの経緯が頭に残った。
|
|
|
|
『暗い迷宮』ピーター・ラヴゼイ
『UPON A DARK NIGHT』
おなじみピーター・ダイヤモンド警視シリーズの最新刊。(と言っても存在に気付いたのは今年('99)になってから。発売自体は去年('98))
ダイヤモンドファン失格…。
内容は古典的な記憶喪失ネタ。
あいも変わらず短気で、部下のジュリーの機嫌ばかりを損ねているダイヤモンド警視。今回は高血圧を気にしつつ登場。
今回を最後にジュリーさんが別の警察署へ転勤となった。次からは苦手な死体解剖を見てくれる部下がいない。さて、どうするダイヤモンド警視。
|
|
|
|
『グット・グリーフ』チャールズ・M・シュルツと『ピーナッツ』の世界 リタ・グリムズリィ・ジョンスン
『GOOD GRIEF』(やれやれ(タメイキ))
前回読んだ『スヌーピーたちのアメリカ』は半分以上、これを参考にして書いているので、内容に類似点が多い。
これを読むとチャールズ・シュルツがいかに有名人らしからぬ人であるのかが分かる。この本は『スヌーピー』誕生40周年を記念して出版されているが、私が読んだ時点では来年で50周年。50年間1度も休まずに漫画を連載し続けた、ただそれだけでも賞賛に値するのに、彼の作品は世界中で愛されている。
彼が死んでもスヌーピーはスヌーピーとして生き続ける。
そこまでの漫画を造り出した漫画家に敬意を。
|
|
|
|
『冬のオペラ』北村薫
名探偵は本の中に何百人(何千人?)と存在する。下は幼稚園児から上は御老体まで。果ては犬や猫も含めてその種類は多様である。
個人的に最も嫌いなのは、犯人が分かっていながら人が大勢殺され、更には犯人も死んでしまい、アホな周囲を前に探偵が種明かしして最後に虚しいなどと呟く類いだ。
こういうのを読むと、ばかかおんどれは、とどつきたくなる。分かってるなら、さっさと動かんか!
その点ではこの小説の名探偵は名探偵にしか相応しい仕事をしないという前提が小気味良い。名探偵は名探偵であるが故に、バイトで日々、食い繋いでいる。
うむ。
探偵が解決するために殺人事件が起きてはならないのだ。
|
|
|
|
『ザ・ウイスキーキャット』 C.W.ニコル
童話。
文章より挿入されている写真の方が良かった。
誇りをもって鼠ではなくエネミーと戦う猫達がカッコ良い。
|
|
|
|
『第三閲覧室』 紀田順一郎
地味な話。
事件を解決する人物が新聞記者なのだが、この人に個性がなく、どうにも味気ない。主役は目撃者。人生に疲れた方で、男やもめは辛いと延々と聞き続けるのが辛い。途中で犯人の目星は付いたが、ヒントが皆無であるため動機は最後まで読まないと分からない。
まぁ、作者の本に対する知識は凄いなぁ、で紹介が終われる話。
|
|
|
|
『玉藻の前』 岡本綺堂
九尾の狐。
賢しい悪女にして、傾城の美女でしかない化け物。
愛しい男は真面目であるがために彼女とは添い遂げられない。彼女が石と成り果てた時、男は後悔する。例えこの身の破滅であったとしても伴に闇の道へ行くべきであったと。
だが、彼には出来まい。
何故なら、彼はあまりにも普通の男だから。何度生まれ変わりょうと、彼はあの女に相応しい闇の一部にはなれない。
そうして、また、悲しく別れるのだ。
|
|
|
|
『龍あらわる』中華怪有篇 西村康彦
知見ある随筆は、ご飯片手に読むのに限る。さすれば、眠らずに済む。(昼ご飯を食べながら読み終えた本)
想像していたのとは大分違った内容ではあったが、改めて、隣国の怪しさが目に染みた書物であった。どうして、あの国はこんなに懲りる事を知らないのだろう。何度も何度も繰り替えし、まるでそれが義務であるかのように国が興っては滅び、英雄が現れては消えてゆく。最後にアクセントとして傾城の美女は欠かせない。
それが怪においても同じだと言うのだから、畏れ入る。
石を食う人。変化する鼠。
今も昔も世の中は生き辛く、国を去る人々は後を立たない。それでいて常に大国である、彼の国。
何故であろうか?
あの広大な土地そのものが巨大な不死の怪物なのかもしれぬ。12億もの民を抱えていれば、1人死のうが2人死のうが、100人死のうが、びくともしない。数と言う絶対の力。他国が手に入れることが出来ないそのパワー。
今日もまた、あのだだっぴろいどこかで龍でも現れているに違いない。
|
|
|
|
『QED』六歌仙の暗号 高田崇史
おまけ殺人は止めて欲しい。
六歌仙が何故あの六人なのかは他の人が証明したのをそのまま利用している。それに七福神を掛け合わせたのは目新しいが、鍵となる木村家の正体を謎にしたまま終わるのが解せない。あれの方がよっぽど不可解だと思うのだが。
|