数年分のストックを利用して、
主に図書館で借りた本の感想を簡潔に書いています。
本当に簡単に書いていますので、
ネタバレなどの心配はほとんどありません。
解説風で内容を賞賛する事が滅多にないのが特徴です。

『人形式モナリザ』
『ネフェルティティの微笑』
『誘拐から誘拐まで』
『地下墓地』
『進化の傷あと』
『丹生都比売』
『下町探偵局』
『龍の契り』
『サタンの僧院』
『4000年のアリバイ回廊』


『人形式モナリザ』 森博嗣

犯人は非常に分かりやすいが、真犯人が知りたければ最後まで行きましょう。
森博嗣さんの作品を読んでいると、美味しいのかもしれないけど無味無臭にしか感じられないご飯を食べているような気分になる。

『ネフェルティティの微笑』 栗本薫

ああいう女性が幸せになるのは大変だなあという話。

『誘拐から誘拐まで』 大石直紀

『パレスチナから来た少女』の作者の作品。文章から察するに地元近辺の出身らしい。誘拐の方法は面白いが、話の主役は誘拐ではなくマネーゲームである。

『地下墓地』 ピーター・ラヴゼイ

『THE VAULT』
ダイヤモンド警視はバース在住の警察官である。故に、事件はバースで起こってくれないといけない。事件が起こらないと困るのだ。事件に携わっていない時の警視はただ単に部下にはた迷惑なだけのおじさんなのだから。
今回の殺人にはフランケンシュタインが絡んでくる。ダイヤモンドのライバルも重体になったりで、(体型もそうだが)重機の如く突き進むダイヤモンドパワーは益々絶好調!
しかし、フランケンシュタインが「黄色い皮膚に白い歯、美しい黒髪の<怪物>」を作った「博士の事」だとは知らなかった。何で、映像だとあんなごついんだ??

『進化の傷あと』身体が語る人類の起源 エレイン・モーガン

あちこちの書評で見かけた本。
サルは水中でヒトになったという「アクア説」を人間の身体的特徴から納得させようと力説する作品。惜しむらくは、アクア説が受け入れられない現状を憂う部分がくどいくらい多い事。
自信があるなら、黙殺など黙殺すればいい。
二足歩行。無毛。汗。涙。大きな脳。対面セックス。言葉。更には腰を患いやすい身体的欠陥。などなど。それらをアクア説で全て説明し切ろうとしている。(後にいくに従って説明不足になる)
水中で進化した理由も、水に入った理由はだいたい納得した。後は、水から「出た」理由を解説したら筋が通る。

『丹生都比売』 梨木香歩

におつひめ。
持統天皇と草壁皇子の親子は女性の作者がよく扱うネタである。あのあたりは資料が少ないから書き辛いところだと思うのだが、女性にはウケが良いようだ。
内容は敏感なマザコンのお伽話といったところ。(何のかんの言って、日本の女性はマザコン好きだよな…)

『下町探偵局』PART 半村良

題名の通り、下町の探偵の話である。
金もなきゃ、仕事もない、だけと人情にはあふれ、という定石に従って話は進む。

『龍の契り』 服部真澄

マカオの中国返還は香港ほど盛り上がらなかった。
この本ではイギリスは香港に未練たらたらであったとしている。返還時には「返して当たり前」という空気であった。確かに何故、あんなにあっさり返したのか、何故、あの毛沢東時代に返還の要求をしなかったのか、疑問はある。この作品はそれをうまく料理している。
話はうまくまとまっていて読みやすいが、主役の日本人男性にわざわざ鍛えた動体視力を与えておきながら、何で活用しなかったのかが、気になる。(それともどこかで使っていたのだろうか?)

『サタンの僧院』 柄刀一

現代の印象が曖昧なまま勝手に話が進んでいく。
カトリックの坊さん学生?が事件を解決する話なのだが、ミステリとして分かったのは一つだけ。あとは事件そのものの非合理性が考えそのものを停止させた。
で、この作品で凄く気になったんだが。カトリックの坊さんは「司祭」だと結婚して子供がいてもオッケーなのか?彼らは学校で神学の勉強しているだけで、正式な司祭じゃないのか?この謎が解けないまま残っている。

『4000年のアリバイ回廊』 柄刀一

本当にこういう遺跡が欲しい。縄文時代のポンペイ。いいなあ。
最近こういう新説ぶっちあげ+事件解決が多いなあ。読みやすいけど、こういう推理ものって殺人がおまけくさくなるんだよ。