水無月三日。
和泉元彌『狂言の世界』へ行って参りました。

正直、私は狂言師としては野村萬斎の方が好みなので、
地元での公演があると知った時。
う〜ん、どうしよかな〜と思っていたのですが、
友人「もう、S席のチケット頼んじゃったから」
私「・・・(まだ文月だぞ、おい)」

で、行く事と相成りました。

演目は『鬼瓦』『痺り』『樋の酒』。
演者は和泉元彌、和泉淳子、三宅藤九郎(和泉祥子)の三弟姉妹。
てっきり、一人一題目と思っていた所、
『鬼瓦』を和泉元彌(大臣)&和泉淳子(太郎冠者)。
『痺り』を和泉元彌(主人)&三宅藤九郎(太郎冠者)。
『樋の酒』を和泉元彌(主人)、和泉淳子(太郎冠者)、三宅藤九郎(次郎冠者)
と、全てにおいて元彌さんが出ばっておりました。
(誰が目的で見に来ているか、よく分かってらっしゃる。)
元彌さんが大河ドラマに出演されているせいか、
客層も幅広く、上は御老体一同から下は小学生(男の子ばかり…)まで。
席のほとんどが埋まっていました。
(当日券も若干あったもようです。)
まぁ、最も多いのはおばさま〜お姉様の群れですけどね。

演じる前に狂言の説明(解説)が先ずありました。
元彌さんが一通り狂言の楽しみ方と、和泉流について話をされました。
狂言の楽しみ方については、
私は既に萬斎さんの方で仕入れ済みの知識であったため、
聞き流してましたが、どうにも比較してしまいますね。
元彌さん…、分かりやすいけど、
話やお客さんの乗せ方は、萬斎さんの方が上手いです。
その文章と文章の間をくっつけて話すのは、和泉流のクセなのですか?
狂言の最中も気になりました。
(聞き取りにくい…。)

で、和泉流の説明の方であります。
狂言には和泉流と大蔵流(漢字は適当です。)しかなくて、
前代宗家(元彌さんのお父様)が早く亡くなられたために
元彌さんは若く(22歳でいいのかな?)して宗家(一門の長)となられたそうです。
(このへん、時宗とかぶりますね。)
和泉流は開祖から五百六十三年の歴史…。
京にいた頃は近衛家(おっ!)の庇護を受け、江戸時代には尾張藩へ。
今、元彌さんが二十世。
一度もその流れは途絶えていないようです。
日本は芸能関係の一族が長く続く国ですが、
これは能、狂言、雅楽などが口伝で芸を継承するためであります。
一族が絶えたら、芸も失われる。
芸を失えば、一族も糧を得る術を失う。
否応なく、芸を引き継ぐ他、ないのです。
(東儀秀樹さんの家なんて、いったい何年続いている事やら。)
故に、日本の伝統芸能に置いては「型」が尊重されます。
(イコール小さい頃から叩き込まれる。1歳半ぐらいから。)
それは「個性」が初めから求められない、
いわば、職人芸のようなもの。
ただ、近年は「個人」の才を頼む欧米文化の影響で、
狂言師の方々は色々と積極的に活動されています。
(NHK大河ドラマ出演もその一貫。)
和泉一族もかなり海外公演をこなされてますが、
次の海外公演は「危ないから止めてくれ」と、
お国の方から言われたそうです…。

肝心の狂言の方ですが、
これは、はっきり言って書きようがありません。
狂言を一度、ご覧になられると分かると思いますが、
あれはその場限りで楽しむものです。
狂言とはあくまでも、「能」の前座であり、
15分〜25分の演技の中で、人々を笑わせるのが目的の芸なのです。
その場で笑う事が出来たらその狂言は成功なのです。
私は笑いました。
友人も笑いました。
中世(五百年以上前)の人々と同じように笑いました。
成功です。
(ただ、元彌さんの声は腹にクる迫力がない…。風邪でもひいているのかなぁと思うほどでした。)


最後にトークの時間がありました。
姉妹弟が順に話をするのであります。
元彌さんは当然、『北条時宗』のネタをふってきました。
その中で、
「よく、桐子との恋の行方はどうなるのですか?と聞かれますが、時宗は桐子に『恋』はしておりません」
と、はっきり断言されたのが忘れられません。
(えぇ、もう、余所様の掲示板にソッコーで書込んでしまうくらい「何やて!」と思いました。)
初めの頃の設定では、
桐子さんは、時宗時輔兄弟両方に愛される役だったハズなのに…。
なじょして、いつの間にこうなってしまったのやら。
(やはり、キャスティングと演技力に問題が?)
続く彼の言によると、
あのドラマで、更にこれからも次々と事件(もめ事)が起きる!との事。
(…それで、収集つくんかい、ホンマ。あと、2ヶ月ちょっとで終わるんだぞ。)
取り敢えず、次の放送(水無月七日?)桐子との仲がはっきりして、
その後に、兄ちゃんとの間もケリがつくようです。
(桐子は兎も角、兄弟間はケリをつけんとな〜。それだけのために丸々一年費やしたようなモンだから。)

公演終了後、握手会がありました。
そのためにはパンフなどのグッズを買わなければならないと知った時点で、
私は元彌さんの手に触れる機会を諦めました。
(1番安いパンフですら二千円〜。萬斎さんだったら、迷わない…かな?)
逆に、そのためにパンフを買った知り合いがその場にいまして、
後で話を聞きました所。
ほとんど女性ばかりの握手会に、
中学生か高校生くらいの男の子がちらほらいまして、
握手をした折、元彌さんと何か話をしたそうです。
ちなみに、周りの女性陣が誰もそんなコト(会話)を成し遂げていなかったとのコト。
話の内容も気になりますが、
男の子達が元彌さんのどこに魅力を感じるのかが、
すっごく、知りたいです。

何だか、妙なレポートでありますが、
和泉元彌狂言の世界の感想はこれにて仕舞でござりまする。
生モトヤは眩しかったです。
初めて御尊顔を仰ぎ奉った時の頼綱の気持ちが分かるほどに輝いていらっしゃいました。
(きちんと正視できなかった不甲斐無きオナゴであります。)
あれで、すっぴんなんだよなぁ…。

ちなみに、霜月十五日には東儀秀樹のコンサートです。
これも既にチケットを押さえられております。
(だから、あたしは寝るって言ってるだろーに。)
感想は不可能でござりまする…。


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