◆第十二話「奢る平家」◆



で、どのへんが「奢って」いたんですか?

まるまる1話を使ってそれを表現しようとしていたらしいのは分かるんですが、「奢って」いる部分が全然見えませんでした。



<大筋>
義経が奥州で家来衆と義仲に「偶然」会ったりしながら、のほほんと暮らしている頃、都では平家の「奢り」が目立ち始めていた。具体的な事例としては、時子の兄時忠による強盗の手の切断ぐらいしか語られないが、徳子が高倉天皇の子を生んでからは、平家一門の昇進が相次ぐ。その子がいずれ天皇となれば、清盛は天皇の外祖父となる。かつて栄華を誇った藤原氏と同じ地位を平氏も手に入れることになる。「平家にあらずんば人にあらず」と放言するも、嫡子重盛の病死以後、後白河法皇との対立が目に見える形で噴出し始める。重盛の知行国を後白河法皇が我がものとしたことから、清盛は一気に反平家の掃討に乗り出す。法皇を幽閉し、その側近を解任。更なる栄華を手に入れながら、平家は滅亡への階段を1つずつ上がってゆく。



→かむろ
平家のスパイとして活躍しました〜と紹介だけされて、スルー。説明だけで終わるなよ!平家の「奢り」を見せたいなら、ちゃんとそのスパイの少年達のせいで潰された貴族や武士を紹介しろ!



→手首切断
よく見てないと分かり辛いが、ここで手首を切断させているのが、「平家にあらずんば人にあらず」との有名な言葉を吐いた人。でも、この人、確かに平家一門ではあるんだが、妹の時子が清盛と結婚したから、いい地位についているんであって、清盛の系列ではないんだよなあ。で、強盗の手首を切断したから、「奢って」いるって何なの?無実のやってない人を斬ったから奢り?それって変じゃない?



→いとこ義仲
義経君、ちゃんと勉強しましょう。義仲は確かにあなたのいとこですが、義仲のお父さんを殺したのはあなたのお兄さんの1人、義平です。つまり、あなたは義仲にとって父親の仇の弟なのです。うっかり声をかけちゃいけません。正体が知れた途端斬られても全然不思議ではない因縁がそのいとことの間にはあります。



→弁慶
人々にヌルい印象を与え続ける気か、今度は女嫌い発言です。これで本当にこの後、オセロの片方と仲良くなれるんですか?



→宗盛
重盛が死んで喜ぶのは、母親が違う兄弟は仲が悪い、というのの典型を表しているだけであって、彼の頭が悪いんじゃないと思う。この当時、母親が違うと「本当に」仲が悪い。ただ、この人はアホくさく描かれてもしょうがないといえば、しょうがないコトを今後やらかす。



義経が清盛を慕っている以上、平家もおろそかにできない。でも、主役は源氏だし。という感じであちこちに手を伸ばしすぎて、物語の焦点がぼやけている。何もかも中途半端。やっぱ、源氏の義経を主役に据えるのなら、清盛を半端にいい人にしないで、平家をきちんと討たれるに足る存在にした方がいい。



→次回「源氏の決起」
以仁王の令旨が来ましたな。ただ1つの命令なれど、源平の合戦を引き起こす重大な要因。皇族の命令があれば、「大儀」が立ち、平家が討てる、というのは現代人に理解しにくい話だ。そのあたりを上手く出せるかどうかが気になるところだ。