◆第十八話「清盛死す」◆
だから、何であそこで五足が殺されるんですか?きちんとした前振りもなく簡単に人を殺さないで下さい、えぬえちけい!
<大筋>
福原から京へ帰った清盛は、病を得て、床に伏す。平家一門の総力をあげての加持祈祷にも関わらず、病状は回復せず、平入道相国は、64年の生涯を閉じる。平家を全盛に導き、初の武士政権を確立させた、武士の棟梁として(あんまり語られなかったが)面目如実な生涯であった。清盛死す、の知らせを受けた鎌倉は、平家打倒の機を意識する。その中で、義経はかつては父とも思っていた人の死に、涙する。
→清盛、死す
死に方は息遣いのリアルさもあって、ああ、死ぬんだというのがよく分かる描写&演技でなかなか良かったが、渡さん清盛は、私は(脚本も含めて)出来が悪かったと思う。
死ぬ前、福原遷都から都に帰るまでの清盛は、平家一門惣領としての気概や迫力が完全に抜け落ちていた。
あれが、叔父を殺し、源氏との戦いに勝利し、娘を天皇と婚姻させ、孫を天皇につけ、日本初の武士政権を作り上げた男だろうか?
最後、死ぬ時の彼は、思い残すことはないと言いながらも、身内の誰にも夢を理解されず、一人寂しく蓬を見るだけの、「夢破れた哀れな男」でしかなかった。その上、相国入道ともあろう者が、連れて行くのが「蓬」だけとは。
何故、これからの源氏との相克を思わせる「頼朝の首を墓前に」を清盛が言わずに、時子がでっちあげるのか。
意味が分からない。
打倒源氏を偽の遺言とするほど、時子が源氏に恨みを抱いていたか?清盛がそれを望んでいたと時子は思っていたのか?そんな前振りはいっさいなかった。
大事な場面で脚本が完全に破たんしている。
清盛の死を一門に伝えに行った時の宗盛の表情は良かった。何も言わず、一門全員(及び視聴者)に一門にとって最大の危機となる、「清盛の死」を悟らせる演技力は、誠に素晴らしいの一言に尽きる。死を知る一門の面々の哀しみ、不安、恐れ、それぞれの複雑な心境を暗示する表情もグ−。清盛の「死」は上手く作られていた。
だが、残念ながら、清盛当人が、栄華を誇る平家の棟梁ではなかった。
半端に義経とのつながりをもたせたこのドラマの、大きな「マイナス」点であると思う。
→五足
平家に批判的で、嫌々ながら耳役になっていた筈なのに、いつの間にか、清盛のシンパになっているし、数珠を取りに行ってるし、遺言までたくされちゃってるし、ワケ分からん理由で殺されているし。清盛以上に半端で何のために死んだのかよくわからなかった若者。彼に存在意義を持たせるなら、ここで殺さずに、義経が京都に上がってくるまでちゃんと残しておいて、義経が京都周囲を逃げ回る手助けをさせればいいのだ。
毎度、取って付けたような、平氏の横暴で死にました、なんて、本当に説得力がない。こんな簡単に使い捨てるくらいなら、初めから用意しなければいいのだ。
→次回「兄へ物申す」
だったかな?物申す、の部分しかタイトルを覚えてないよ。ようやく、頼朝、義経兄弟に挟まれて、影の薄い良純さん範頼の登場ですな。そのキャラを生かして、義経が出張ってくると、拗ねるような兄上を希望。範頼は母が遠江遊女だから、身分的な立場は義経とほぼ同等。
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